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「地震の瞬間」

杉下 洋志  いわき市泉町

三月十一日地震の瞬間、家の中が電車の様に横揺れし、家の品々が飛び散り始めた。立っていることが困難で、水溜してあった洗面台につかまり前後左右に大きく揺れる洗面台の水を見つめていることしか出来なかった。

やがて、揺れが収まり義母の家に向かい車を走らせた。6号バイパスにのると途中で渋滞に巻き込まれ、にっちもさっちもいかなくなった。

止む無く路側帯をハザード点灯で突き進んだ。道路のいたる所でアスファルトがめくり上がったり、亀裂が生じたり、段差が生じて通行できない状態になっていた。

やがて、義母の古ぼけたアパートに着くと、義母は恐怖で顔が強張り今にも泣きそうな顔をしていた。余震が続く中、急いで車に乗せ、妻の勤務先に車を向け突き進んだ。

妻は同僚の人達とグラウンドに集合していた。急いで探して車に乗せ、高台を目指して車を走らせた。小名浜一中のグランドにたどり着き、車内テレビで津波情報を聞きながら収まるのを待っていた。


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