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忘れない絆

犬塚 富佐子  いわき市常磐関船町

 三月十一日。誰も経験したことのない震度六強の強い・長い揺れ。電気・ガス・水道・電話。私達の便利で平和な暮らしが一瞬にして奪われた。更に、巨大な津波が沿岸部の町や人を飲み込んだ。余震が続く翌日、原子力発電所が爆発。大きな地震が起きても大丈夫なはずの「安全神話」が崩れた。ガソリンもない中、とにかく遠くを目指して逃げた。初めての避難生活。必死で一日一日を過ごす。避難者自らが気を紛らわすように、ボランティアとして動いた。先が見えない苛立ちを必死で堪えながらみんなで協力して乗り越えようとしていた。石川町から埼玉県三郷市。何処に行っても地元の方々が大変優しく、苦しい私たちの心の支えとなってくださった。仮設に落ち着いた今も、なお続く心のこもった応援に、感謝。

 早く我が家に帰りたい気持ちを抑え、家族・人との絆を大切にこの苦難を乗り越えたい。避難生活は精神的に苦しいものだからこそ、人同士が支え合うことの大切さをかみしめながら。


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